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親子の情景

 後ろの方の席で、


 「何を食うのだ阿 速く決めろ

 いやなら 回転寿司だっていいよ」


 と、大きな声がして、


 なかなか話が見えずに、同じことを言い続けている。


 私は、前を向いたまま、「適当にとって、好きなものを別ければよかろう」と声に出して行っておいた。



 帰ることにして、声のほうを窺うと、


 老人の父母を前にして、息子一人が奮闘努力していることがわかった。



 老人の日、レストランに連れてきたのはサーヴィス制新だったろう。



 ところが耳も遠いし、何が食べたいのかメニューからは決まってこないようだ。



 親の好きそうなものを取り寄せて分け合って食べるしかないだろう。



 息子が適当に決めろ、と思ったから、声に出して言わなかったので聞こえない息子だった。



 両親は嬉しそうにただニコニコしているばかりだ。 
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