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 雪に埋まる町

無念だ、死ぬ時の時間の傾斜を、

 死への傾斜を支えてやることが出来なかった。


 何たる怠慢と鳴ったか、


 確実にF特養苑の時代が来ていたのだ。

 あまりにも虚しい晩年の幸福が

 充実したものになっていくべきだった。


 どこまでもふがいない人生が、逆転することはなかった。
 それは出来たのである。

 憲次郎は同じ思いにとらわれる。

 最期は余計な目薬で目を開きすぎた。披露だ。疲労した。
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